熊四拾九号／秋山Ｔ邸「和のガレージ」

［2011.7竣工］
車や船のエンジンに使われる特殊なネジなどを生産するクライアントは、自身のＧＴＲをこよなく愛するカーガイであり、理想のガレージを求めていました。ＧＴＲのデザインが着物の裃から引用された造形であることから、やはりＧＴＲを格納するガレージは、和のガレージでなくてはというコンセプトにたどり着きました。

コンクリート打ち放しによるミニマムで端正な質感は今やジャパンコンテンポラリーの王道な表現であり、日本建築の文脈からの木造表現が今回の大切なコンセプトとなりました。ガレージは単なる愛車の格納のみならず、メンテナンスが出来る余白を必要とし、床下からのメンテナンスを可能にするために点検用ピットを設けました。又、排気パイプを床上に露出しないために排気管ダクト用の地下ピットを設けることで、ガレージ内をいつも整然と美しく保てる工夫がされています。又滑走路のような床埋め込みの青色ダイオードのランプを埋め込み、発進時の高揚感を味わう演出がされています。ガレージ上の秘密基地からタラップを降りて発信する秘密基地感を味わう演出がされています。
　
住居部分は和モダンで構成され、リビングは洋的要素へのマッチングも配慮してアッシュの大判フローリングが採用されています。2階は寝室子供部屋を計画し、裸足での質感にやさしい桧のフローリングを採用しました。浴室はガレージの上に計画することで防水性に配慮し、バスコートを設けて開放的な演出がされています。キッチンには収納のバックヤード動線を設けることで、玄関から別動線でキッチンに移動できることで、来客者動線に配慮されたゆとりある作業動線となっています。屋根には太陽光パネルを設けて10Ｋｗ近くを発電することで、昼間の生活に必要な電気を節電しています。